PSWの師について

大学入口師について

昨日、大学院時代の恩師が定年を迎えるに当たって有志が企画した「最終講義」に出席した。

大学院といっても、私自身は高卒(正確には通信制の専門学校か)で、専門領域での実務経験と論文、面接で合否が決まる「専門職大学院」というもの。そこで二年間学んだ。その時のゼミでご指導いただいた。

恩師は日本の精神保健福祉士制度を法制化する上で中核的な役割を果たした方で、医療現場から大学教員に転身され、長く後進の育成に励まれた。

さて、最終講義当日、久し振りにお姿を見て、まず驚いたのが、恩師の髪。
長く伸ばし、後ろで一本に縛ってある。

元来ダンディーな方で、それはそれで似合い、さまになっているのだが、それにしても随分長い。その理由は講義の最後に分かることとなる。

講義は、多くの深刻な人権侵害とともにあったと言っても過言ではない我が国の精神科医療の歴史を辿りながら、その折々に医療職や支援職が当事者とともに取り組んできたことの意義や課題を再評価するという、とても大きな建て付けのものであった。

最後、恩師が「現在取り組んでいること」として話したのは、「精神科病棟に不当に長期間入院を強いられ基本的人権を侵害された元患者」が「国の不作為」を理由に賠償を求める「国家賠償訴訟」であった。恩師はその取り組みの事務局長である、と。

そして、講義の締め括りメッセージは「皆さん、戦っていますか?ちゃんと戦っていますか?」という、私たちへの問い掛けであった
ソーシャルワークとは「社会的矛盾と闘う知恵と行動」、SWrは「状況に抗い、静かに戦い続ける人」。

「戦うとは、エキセントリックに叫ぶことではない。相手を敵視するのではなく、課題として外在化・共有化すること。調整を仕事とするPSWは、本来得意なはず。それぞれの現場で、静かに、粘り強く、戦い続けてください。」

恩師の姿勢に打たれ、不覚にも涙が出た。国内唯一の、私学でありながらすべて厚生労働省による予算で運営している大学で仕事をされ、不用意な言い方にはなるが「波風を立てずに退任」されれば、これまでの実績から「国の各種審議会委員」などの公職が引く手あまたで待っている。

しかし、恩師が価値を置く「自分が生きたい生き方」は、そのようなものではなく、野に身を置き、自らが信ずるところに従って常に当事者とともに生きることなのであった。「勝っても負けても、一審判決が出たら髪を切ります。それまでは伸ばし続けます。」

私は、戦っているか。

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